博士研究ではFig. 1に示す通り磁界共振方式の無線電力伝送を飛行中のドローンに対して適用することで,ドローンの航続時間を延長する研究を行っています。
現在(2023年10月)バッテリー駆動のロータ型ドローンの駆動時間は最大で40分程度であり,20分程度が相場だと言われています。
一方,警備や点検,運送用途などにおけるドローンの産業利用を考えるとき,この航続時間は十分なものと言えません。
私の研究はこの問題を抜本的に解決し,理論的には無限の航続時間を有するドローンを実現するものとなっています。
飛行中給電の社会実装例をFig. 2に示します。
飛行中給電は固定の経路を利用する業務に対して有効であり,Fig. 2でドローンは固定の経路を周回する警備業務に携わっています。
この業務においてドローンはドローンポートを出発し,工場内を監視しつつ一周し,最後はドローンポートに戻ってきて着陸,充電を行います。
敷地の広さにもよりますが,現状の技術ではドローンは一周ごとに充電を行う必要があり,これを原因に機体の運用率を上げることは困難となっています。
一方,飛行中給電を行うための送電コイルをドローンの監視経路に実装する場合,監視をするドローンに対し給電を行うことが可能となります。
これによりドローンポートに一周ごとには停まる必要が無くなり,機体の運用率を改善することが可能となります。
機体の運用率が改善することで業務に必要な機体台数は少なくする,またはより多数の機体を用いて業務を行うことが可能となります。
Fig. 1
Fig. 2